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介護サービス

この項では、「老人ホーム、介護施設とは」の項で書いた、「誰が」「どんな介護サービス」を提供しているのかについて書きます。「どんなシステムで」について書いた「介護保険」の項と並行してよんで頂くと概要の把握が楽なのではないかと思います。

各サービスの説明に入る前に、厚生労働省の次のデータを、ご覧下さい。
この表は平成18年の5月から19年の4月までの1年間に要介護者(要介護1~5)が「どんな介護サービス」を受給したかを
示すデータです。(このデータは厚生労働省の介護給付費実態調査結果からの抜粋です)

居宅で受けられる介護サービスとサービス種類別受給者数

年間実受給者数
居宅訪問2959.3


訪問介護1521.8
訪問入浴介護139.9
訪問看護391.9
訪問リハビリテーション56.9
通所介護1357.3
通所リハビリテーション602.1
福祉具貸与1375.2
短期入所634.6

短期入所生活介護(特養)504.9
短期入所療養介護(老健)156.1
短期入所療養介護(病院等)17.5
*厚生労働省発表平成18年5月~平成19年4月の要介護者の介護給付費実態調査結果より。
単位は千人

上の表は、要介護者に絞ったモノで、尚かつ居宅で利用できるサービスです。
要介護者のニーズがどこにあるか?は利用者の介護度と自己負担金額をクロス集計するともっと実態が浮かび上がることになると思われますが、ボリュームゾーンがどこにあるかを大雑把に把握することは可能ではないでしょうか?

同時に利用者のニーズだけでなく、サービスを提供する事業体(通常サービス提供事業者という)も窺い知ることが出来る。
つまり昨今話題になったコムスンやニチイ学館が訪問介護事業を主にしていた理由は、そこのビジネス需要が大きいということを示していることにもなる。

では順にサービスの内容や提供者等の説明をしていきます。

訪問介護とは
  • 要支援者・要介護者の掃除・洗濯・調理・買い物などの生活援助と、入浴の介助・排せつ介助・更衣・食事介助などの身体に触れる身体介助を行うサービスがある。上記の表の通り、介護保険の数あるサービス種別の中で最も需要が高いサービスであり、要介護者及び同居者と最も深い関わりを持つサービスである。必然的に、そのサービスの担い手も最も多い。
    • 生活援助・・・208単位/0.5~1H未満、291単位/1.5H(生活援助を利用する場合は連続して1時間半未満と決めらている
    • 身体介護・・・231単位/30分未満、402単位/30分~1H未満
    • 複合型(身体介護と生活援助の両方を提供する場合)・・・上記の身体介護の単位数に30分未満の生活援助を提供する場合は83単位をプラス。30分以上60分未満の場合は166単位を、60分以上の場合には249単位を加算する
  • 訪問介護サービスの担い手は介護福祉士と所定の養成研修を受講したホームヘルパーとなっているが、厚生労働省の指針はサービスの質を高める目的で、訪問介護をするためには介護福祉士の資格が条件とするようである。
    ホームヘルパーには1~3級があるが、3級では身体介護の講義がないため、現場では1~2級が必要となる。各級の受講時間は以下の通りとなっている。
    • 1級課程(230時間)・・・2級課程で修得した知識及び技術を深めると共に、主任訪問介護員としての業務を修得する。
    • 2級課程(130時間)・・・訪問介護員が行う業務に関する知識及び技術を修得する。
    • 3級課程(50時間)・・・訪問介護員が行う業務に関する基礎的な知識及び技術を修得する。
  • 訪問介護を提供する事業者の要件は以下が必要となる。
    • 人員基準・・・ 介護福祉士又は訪問介護員(1~3級ホームヘルパー)を、常勤換算で2.5人以上(サービス提供責任者を含む)配置すること。又、1人以上のサービス提供責任者(介護福祉士、1級ホームヘルパー、実務経験3年以上の2級ホームヘルパー)を配置することとなっている。更に、管理の職務に従事する常勤管理者を配置することなっている。
    • 設備基準・・・①事業の運営を行なう為に必要な広さを有する専用区画が有ること。
      ②サービス提供に必要な設備・備品が有ること。
    • 運営基準
      1. 訪問介護計画が作成されていること。
      2. 利用者管理台帳(サービス提供時の記録、事故の記録、苦情の記録などを記載)が準備されていること。
      3. 同居家族に対するサービス提供を行なわないこと。
      4. 利用者の病状急変時等における主治医への連絡などの緊急体制が整備されていること。
      5. 運営規程の概要、秘密保持、訪問介護員の勤務体制、苦情処理体制等を記載した文書を利用申込者に交付(説明)し、利用申込者の同意を得た上でサービスの提供を行なうこと。
以上の要件を満たしていれば事業者を開く事が出来るので、超高齢化社会の到来を睨んでビジネスチャンスを掴むため個人で起業し参入する人が多く、事業者としては脆弱であり、介護の理念を持たない人が多く、サービス低下の一因と指摘する人も多い。

訪問入浴介護とは

 浴槽を利用者の居宅に持ち込み、入浴サービスを提供します。サービスの提供にあたっては、看護師1名介護職員2名が義務づけられているが、主治医が利用者の身体状況が安定していると判断した場合には、介護職員を充てる事が出来る。

  • 看護師1人と介護職員2人で訪問入浴サービスを行った場合は1回につき @1250単位
  • 介護職員3人で提供した場合は上記単位の95/100となる。

訪問入浴介護事業を行うためには以下の要件が必要となる。

  • 人員基準・・・看護師又は准看護師1名以上介護職員2名以上で、1名以上は常勤
  • 設備基準・・・事業を行うのに必要な広さの専用区画と必要な設備・備品を備えることとなっている。
表のように需要は少ない。浴槽を持ち込むには経路及び室内にそれなりの広さを必要とするため通所での入浴介助を利用する人が多い。

 訪問看護とは
 看護師などにより主治医の指示の下に行う医療的処置や病状の経過・観察・アドバイス、リハビリテーション、入浴の介助や排泄のトラブル処置など多岐に渡る。訪問看護はサービス内容から介護度が重くなるほど利用する人も多い。

  • 病院・診療所の場合単位数は
    • 20分未満・・・230単位
    • 30分未満・・・343単位
    • 30分~60分未満・・・550単位
    • 60分~90分未満・・・845単位

訪問看護事業を行う要件は
  • 人員基準
    • 病院・診療所が行う場合・・・保健医療機関として指定を受けていれば介護保険法の訪問看護事業所として指定
      を受けたものとみなされ、看護職員の配置も適当数となっています。
    • 上記以外・・・保健師又は看護師又は准看護士が常勤換算で2.5人以上
  • 設備基準・・・適度の専用スペースの確保だけでなく、受付・相談スペース、感染症予防に必要な設備が必要である。

訪問リハビリテーションとは
 通院が困難な利用者が主治医の指示の下に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーションを在宅で行う事。訪問リハビリテーションの需要が少ないのは、有効性に疑問を抱くのと通所で他のサービスと並行して受けるためのようである。

  • 訪問リハビリテーションの単位数は・・・500単位/1日で計画の見直しや記録・報告等のマネジメントを行っている場合は20単位加算される。

  • 理学療法士・・・運動療法やマッサージ、電気刺激、温熱療法等の物理的手段を用いて機能回復にあたる専門職
  • 作業療法士・・・様々な道具や作業を通して、身体の機能回復を目指しリハビリテーションを治療、指導、訓練する専門職
  • 言語聴覚士・・・難聴や言語発達遅滞、失語や構音障害などによるコミュニケーション障害を治療、訓練、指導する専門職

  • 訪問リハビリテーションを行うには指定訪問リハビリテーションの認可を受ける事が必要です。

通所介護(デイサービス)とは
 在宅の要介護者がデイサービスセンターなどの福祉施設に通い、入浴、食事、レクレーションや機能訓練などのサービスを日帰りで受ける事。

  • 単位数は、施設の規模、利用者の介護度、滞在時間、などで異なる。又、口腔機能の改善、栄養指導、機能回復訓練などを行った場合には加算がある。
例えば、要介護2の人が通常規模の福祉施設で6時間~8時間未満滞在した場合・・・789単位

通所リハビリテーション(デイケア)とは

 上記サービスを福祉施設で受ける場合をデイサービスといい、介護老人保健施設(老健)や病院・診療所などの医療施設に通うことをデイケアという。

単位数は、利用者の介護度、滞在時間、によって異なるし、上記同様特別なサービスを提供した場合には加算がある。

例えば、要介護2の人が6時間~8時間未満滞在した場合・・・842単位となっている。

*デイサービスとデイケアで単位数が異なる理由は、施設そのものの基準がデイケアは医療(リハビリテーションを中心とした機能回復に重きを置き)それを可能にする医師の常勤や看護師の人員配置、理学療法士や作業療法士などの専門職員の配置がデイサービスを提供する施設よりは厚くなっているためと思われる。
しかし、福祉施設や老健が画一のサービスを提供しているかというと、施設によって大きく異なる様である。レクレーションヤゲームに力を注ぐ施設もあれば、リハビリテーションに力を置く施設もある。
デイサービス・デイケアはそこで提供されるサービスの内容以上に、身体機能が低下して、引きこもりがちになる要介護者を外に連れ出し、刺激を与え、他人と接触を持つという数字では現れない効用がある。


通所施設・入所施設の事業所要件は、そこで宿泊・食事や入浴、機能回復などのサービスが提供されるため居室の床面積から廊下の幅員、浴槽設備など、厚生労働省が定めること細かな建物の基準や設備が決められている。又、人員配置についても医師・看護師・栄養士・リハビリの専門スタッフ・介護職員の数が収容人員に応じ決まっていている。以降は事業所の要件は割愛する

福祉具貸与とは

 要支援者及び要介護者に生活に必要な福祉用具を貸与する事、あくまでもレンタルしているので返さなくてはいけない。従って購入=「自分のものになる」とは異なる。貸与と購入では身体に直接触れるもの(ポータブルトイレやシャワー椅子)が購入対象商品で、ベッド・車椅子・歩行器・歩行補助杖・などは貸与商品になる。

*注意が必要なのは、商品によって介護保険対象商品(1割だけの自己負担で借りれるもの)とそうでない商品があるので商品選択の際、確認が必要です。又、車椅子とその付属品、ベッドとその付属品等は要支援者・要介護1の人は改正介護保険で借りれなくなりました。


  • 単位はベッド(介護保険では特殊寝台という)でも2モーターと3モーターで異なりますし、同じ2モーターでもデザインでも異なります。尚、福祉具の単位数は一月あたりの計算となります。例えば、車椅子は680単位/月です。
  • 福祉具貸与をサービス提供するものは、福祉用具専門相談員が従事します。

短期入所生活介護(ショートステイ)とは

 在宅の要介護者が、特別養護老人ホームなどの福祉施設に短期間入所し、入浴・食事・排せつなどの日常生活の世話や、機能回復を受けるサービス。
24時間、365日介護にあたる同居者にとって一時的にせよ介護の物理的・精神的軽減が図れるので有意義なサービス。

短期入所療養介護(老健)・短期入所療養介護(病院)とは 福祉施設に短期入所するのが短期入所生活介護で、医療機関に入所・入院するのが療養介護という。
単位は通所サービス以上に介護度や居室のタイプ、受けるサービスの内容によって分かれる。
例えば、要介護2の人が 短期入所生活介護でユニット型個室に入所した場合は、812単位となる。
*通所・入所サービスともに利用できるのは要介護者のみとなった。


居宅介護支援(ケアマネジメントサービス)とは

 ケアマネージャー(介護支援専門員)が要介護者のニーズに沿ったケアプラン(介護計画)を立案し、各サービス提供者と連携・調整を図る。
ケアマネージャーは最低月に一度は担当の要介護者を訪れ、翌月のケアプランを提出するとともに、サービスに伴う不満やトラブルの処理、サービスが予定通りの内容で行われたかなど業務は多岐に渡る。 ケアプランには日毎のサービス提供事業者と内容、単位数が記入され、サービス種別ごとに料金に換算する 掛率が決まっている。そうして割り出された金額の総合計の9割が自治体から払われ、残り1割が利用者の負担となる。(「介護保険」の項のシステムを見て下さい。)

「介護認定」の項で触れた介護度による一月当たりの単位数の上限数字がオーバーしないようサービスを調整するのもケアマネの大切な業務である。しかし、業務内容が複雑で抽象的なだけに利用者にとって理解が難しく、分かりづらいサービスでもある。

  • 単位数は、要介護1/2が1000単位、要介護3・4・5が1300単位となているが、これについても内容によって加算がある。要支援1・2の人については、地域包括支援センターでケアプランを作成します。
尚、ケアマネージャー及び地域包括支援センターによるケアプランの作成・支援サービスには自己負担は発生しません

  • 居宅介護支援事業の要件は、なによりもケアマネージャーの資格を取らなければいけない。 居宅介護支援だけの事業所は極めて少ない。というのはケアマネ一人が担当する要介護者の人数は30人と厚生労働省で決められており、それのみでは企業体としての運営が難しいからである。従って他のサービス提供事業との併設が一般的である。